レースゲージには、測定器と測定治具の二つの機能があります。
正確な測定には、測定器本体の性能と、測定治具の信頼性が必要です。
それらが、正しく機能することによって、サスペンションジオメトリーの把握と、正確なホイルアライメントにより、タイヤに最適な環境を提供し、走行性能を向上させることが可能です。
サスペンションジオメトリーには、走行時の上下方向のストローク変化、横G(遠心力)によるヨー変化、操舵によるステアリングジオメトリーなどがあります。
ホイルアライメントは、静止状態(1G)のタイヤの位置、角度を測定し、目標値(メーカー基準値等)へ調整します。
タイヤの角度には、トー角、キャンバー角があり、サスペンションにはキャスター角、キングピン角、アッカーマン角などがあります。
タイヤのグリップ力(摩擦力)は、サイズ、接地面積、空気圧、荷重、温度、ヒステリシスを始め、走行時にはスリップ角、サスペンションジオメトリーによるアライメント変化、遠心力、駆動力、路面状況(水、砂、雪、温度等)などの影響を受け、常に変化しています。
1. ダミーホイールを使用する目的とは
長年、ダミーホイールは車輪荷重を測定するために用いられてきました。
また、測定のための前輪のアライメント整列の確認作業が必要不可欠なものでした。
これまで、上記の環境はフォーミュラーカーを始め、トップカテゴリーで用いられる高価な機材でしたが、ダミーホイールが普及し、チューニングショップなどでも用いられるようになってきました。
コーナーウエイト(輪荷重)は、車高のバラツキだけでなく、左右差と前後バランスを測定します。市販車の場合、フォーミュラーカーほど繊細な違いが出にくいように思います。
2. 市販車にダミーホイールは必要?①
近年は市販車を改造したワンメイクレースが盛んになり、また縦溝を有した繊細なタイヤのマネージメントが求められるようになりました。
ワンメイクレースは、レース中の接触などでホイールの曲がりが多く、リム接点式では、正確な測定環境を得ることが難しく、ダミーホイールを用いるケースが増えているようです。
1)の目的と少し異なりますが、誤計測をしないためのダミーホイール活用と言えます。
3. ハブ直付けでないダミーホイールは有効?
ホイールナットなどを介し、タイヤ、ホイールとは異なるプレートを仮想ダミーホイールとして取り付けることもあります。レースゲージではプロです。
タイヤを取り外す必要がなく、装着が簡単というメリットはありますが、仮想ホイールの信頼性を確認する作業(ランナウト補正等)が加わります。
タイヤを浮かし、仮想ホイールを回転させ、振れを検査します。
この振れを計測しない場合、測定結果に担保出来るものがなくなってしまいます。
ボルトへの共締めの場合は、締め付けトルク管理、座面精度の管理が加わります。
アライメント測定は、大凡の計測と、再現性が高い絶対値計測に分別され、大凡の測定を用いる場面もありますが、適度に基準値を確認しなければ、迷走してしまいます。
4. 市販車にダミーホイールは必要?②
市販車には、ボディシャシと、サスペンションシャシの関係があります。サスペンションの取り付け部がボディと一体の場合、ボディ精度の影響を受け、別体の場合は、ボディとサスペンションメンバーの位相ズレの影響を受けます。
それほど精密に考える必要性があるの?という疑問もあるかもしれませんが、サスペンションとボディ剛性には密接な関係があり、車両開発者の書物などでも語られている程、ボディ剛性は車の運動性能に大きな影響を及ぼします。
近年の車はボディ剛性が上がり、繊細なアライメントをドライバーが感じ取れるようになってきました。そこで忘れてはいけないのが、市販車ゆえの精度です。
外見の車体、サスペンション取付部のシャシ、サスペンションメンバーの取付位置、
車体の個体差等により、セットバック、オフセットが生じていることが多くあります。
最新の車両でも個体差は、それなりにあります。
自動車メーカーは設計精度と、生産・組み立て精度を重視しており、組み付けラインにおいて
シャシとサブフレームの位置合わせを行う治具を活用していますが、改造やチューニングなどの人の手が加わったことで、メーカー出荷状態からずれてしまうケースもあります。
このようなズレは、セットバック、オフセットを引き起こします。
直進性能、操舵性能に影響を及ぼすため、タイヤと地面に最適な環境を作るためには、無視できない項目です。
レースゲージのプレミアムアライメントには、治具としての機能があります。
ホイルベースの測定、トレッドの測定、シャシとタイヤ(ダミーホイル)の位置を測定することで、オフセットを把握出来ます。
セットバックは、キャスター角に影響を及ぼします。キャンバー角の操舵変化を読み取ることで左右差を確認できます。
5. 誤測定を招く理由とは?(測定器編)
アライメント測定に求められる課題は、正確さです。
しかし、測定した結果が正しいのか、間違っているのか、答え合わせをできる測定器が非常に少ないのです。
そのため、簡単に測定でき、モニター画面に数字が現れる高性能アライメントテスターを導入したいと考えます。最新の3Dカメラ式アライメントテスターを始め、その性能、機能はとても高いものです。
高機能な測定器であっても、間違った測定結果になる場合があります。
例えば、ホイルに大きな曲がりがあった場合、ホイルの振れを自動で補正するランナウト補正がありますが、補正はあくまで補正なので、絶対値を測定できるわけではありません。
条件が整っていれば、補正は有効ですが、条件外の時は補正を無効にしなければいけません。
基本的に補正をオフにすることができないのが、3D式のデメリットの一つです。
また、高機能測定器の場合、校正頻度が問題です。
一般的に1年に一度の校正が推奨されているようです。
仮に、測定器が損傷していた場合、それに気づかず測定を続ければ、不良品を出荷することになります。
レースゲージプレミアムは、測定前、測定後にキャリブレーション校正が可能です。
ランナウト補正を不要とした治具としての機能を有していますので、測定精度が安定します。
プレミアムタイプで測定、調整後に、タイヤを装着しスタンダートトーで測定することも、様々な確認検査を行うことが可能です。
スタンダートトーは測定子の位置ずれを防ぐ、治具としての精度を安定させる機構を有しています。
6. 誤計測を招く理由とは?(環境編)
ダミーホイール、レベル定盤、コーナーウエイトなど、サーキットではよく見かける風景です。
サーキット場のピットは、コンクリート土間が多く、レベル精度が高いですが、
レベル定盤のアジャスターの高さに違いが出ます。
このような状態で、定盤上(水平)の車のアライメントを、地面に置いたトーインゲージなどで計測してはいけません。
車が水平であっても、測定器が水平でなければ、トー角の計測に、キャンバー方向の角度が介入してしまい、正しい測定が行えません。
キャンバー角が大きいレース車両では特に注意が必要です。
測定の正しい原理を確認することが大切です。
ブッシュのねじれによる、ミスアライメントとは。
タイヤが地面に設置する際、サスペンションジオメトリーにより、タイヤが動く方向が決まります。ですが、タイヤはトレッド方向(真横)へのみ動くわけではありません。
接地時のストレスを解消するため、ターニングラジアスゲージなどのストレスを解消する機構を地面とタイヤの間に装着することが必要不可欠です。
レースゲージのダミーホイールは、接地部分をベアリングローラーではなく、パッドにしています。一つ目に安全性と再現性の目的で採用しています。
可動域制限のないローラーでは、車両が動いてしまい、落下等による重大事故につながりかねません。
また、ローラータイプは動く方向が決まってしまうため、市販車のようにストロークが長い車の場合、ミスアライメントを誘発してしまいます。
レースゲージプレミアムは、ターニングラジアスゲージの使用を前提としており、アジャストパッドを採用しております。アジャストパッドの採用によりキャスター角、SAI角の測定が可能です。
再現性が担保されない場合。
ブッシュには復元力(弾性力)があります。この弾性力がなくなっていれば、交換が必要です。測定毎に数値が変わる、走行毎に数値が変わる、そのような場合は車両を点検し、整備することが必要です。
7. レースゲージのアライメントホイールとは
レースゲージでは、ダミーホイールではなく、アライメントホイールと呼んでいます。
このアライメントホイールには、コーナーウエイトを測定する機能と、測定に必要な治具機能の両方を持ち合わせています。
専用の機構には、トータルトー角を直進時だけでなく、操舵時(アッカーマン角)の測定ができます。(特許出願済、意匠登録済)
また、キャンバー角を、直進時、操舵時、どの角度も測定できます。
キャスター角、SAI(KPI)軸は、ブレーキロックによる操舵角差を測定することで、キャスター係数、キングピン係数を用いることで、実角度測定と、想定値を計算できます。
レーシングカーのように専用設計されたシャシ、サスペンションジオメトリー下では、設計上のステアリングジオメトリーが存在しますが、市販車を改造した車には、本来の設計思考と使用環境が大きく異なり、ステアリングジオメトリーを始め、サスペンションジオメトリーの把握が必要不可決です。
このように、走行安定性、運動性能を向上させるために、レースゲージが役立ちます。
8. レースゲージの優位性とは
- 測定用治具としての機能による高い再現性を実現しています。
- サスペンションジオメトリーを測定できる様々な機能を有しています。
- 持ち運びが可能なポータブル性により、工場内、サーキットなど場所を選ばず使用できます。
- 高精度ながらシンプルな構造のため、導入後の故障が少なく、末長く使用できます。
- 導入コスト(価格)に対し、収益効果が高く、年次校正なども発生しません。
- 操作が簡単なので、モータースポーツから自動車修理工場まで幅広く活躍します。
- タイヤ・ホイルの影響がなく、ミスアライメントのリスクを低減できます。(ランナウト補正が不要)
- 4輪すべてを調整した場合の作業の作業時間を大幅に短縮できます(自社検証)
- 入門モデルからハイエンドモデルまで拡張が可能です。
- 特注製作などのケースバイケースに対応できます。
皆さんの悩みを解決する測定器、それがレースゲージの目標です。
アライメントをこれから始めようと思われている方から、長年アライメントを提供されているショップ様まで皆様の悩みを解決できるご提案をいたします。お気軽にご相談ください。
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